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DQリファレンスを入手しました
DQリファレンスを入手しました_f0158244_23461212.jpg DQツールというのは,デジカメ画像のお店プリントと自宅のパソコンモニターの色合いを合わせるための手順で,元々ドイツフォトイメージング工業会が考案したものです。
 DQツール↓
http://www.jcfa-photo.jp/digital/navi/dqindex.htm
 ここ↑で紹介されている手順を読み進むとテストチャートのチェックポイントなども書かれており,なかなか有用だと思います。このDQツールのサブリファレンスプリントを入手しましたので,それと関連した実験をしました。



 便宣上,この項では,次の用語とさせてもらいます。
・リファレンス画像
 お店プリント依頼用JPEG画像

・お店プリント
 JPEG画像を当方の行きつけのカメラ店のミニラボ機でプリントしたもの。2L判。富士フイルム フロンティア350。

・ラボ協会プリント
 DQツールで紹介されているサブリファレンスプリント。今回,ラボ協会に依頼して入手した。

・PX-5500プリント
 当方のエプソンPX-5500でリファレンス画像を印刷したもの。

●リファレンス画像のExif情報
 Exif自体は付いていますが,カメラでみるようなのと違う変なものです。
 複数の写真がレイアウトされていて,グレーチャートなどがあるのですから,カメラのExifと同じわけがありません。
 なお,このExifの中に,CRタグはレコードそのものが存在しません。

●リファレンス画像のプロファイル
 Photoshopでは,埋め込まれているプロファイルは「(c)Print-sRGB」と表示されました。聞いた事がないプロファイルです。ふつーのsRGBと,何が違うのだぁ?
 もしかして,これが,話に聞くフロンティア独自sRGBプロファイルなのでしょうか?
 試しにPrint-sRGB→sRGBへ変換してみましたが,画面では変化が認められませんでした。但し,ヒストグラムは変化します(傾向は変わらないが,山の位置が,ちょっと変わる)。この挙動は,AdobeRGBの時みたい(苦笑

●ラボ協会プリントの設定は?
 裏印字によると,自動補正OFF,CMY・濃度補正はどちらも無補正。ペーパーは富士フイルムのEverBeauty for LASER。
 裏印字フォーマット,ペーパーの状況から,機械は富士フイルムのフロンティアだと思います。ラボ協会というのは,業界団体ですから,当方の推測ではに富士フイルムの基幹ラボであるイメージング調布でプリントしたものと思われます。
 フロンティアのプリント方法は,当方が把握しているのだけで,4種類に大別できます。サブリファレンスの目的と裏印字の感触から,いわゆるメディアプリント(自動補正OFF,手動補正なし)だと思います。
 メディアプリントであるならば,フロンティア(プリンター部)独自のプロファイルが使われているので,ICC標準に準じたプロファイルを使ったインクジェットプリンタとは,どうやっても,色味は完全一致しません。

●お店プリントの設定
 メディアプリント(自動補正OFF,手動補正なし)

●ラボ協会プリントによるモニター調整
 実際には,やりませんでした。
 当方が持っているモニター プロファイルにフロンティア用というのがあって,色温度5000K,ガンマ2.2,輝度100cdがi1の目標値です。
 この設定とラボ協会プリントを比較してみましたが,そこそこ近似と言ってよいと思います。

●お店プリントによるモニター調整
 これも,実際には,やりませんでした。
 お店プリントは,ラボ協会プリントとの比較で,少しマゼンダに寄っている感じです。
 やるとすれば,当方のフロンティア用設定をベースにマゼンダ系を少し上げてやれば,ぼぼマッチするかなぁ,という印象を受けました。

・ここまでのまとめ
 DQツールによるミニラボ プリントと自宅モニターの色合せは十分に実用になる。
 ラボ協会プリントは,参考データであり,実際に普段利用しているお店プリントを使って調整を行わないと意味がない。また,お店プリントの状態も,未来永久維持されるわけではないので,時折,リファレンス画像のお店プリントを再度行って,店のプリントと再調整が必要なる。

 本来の目的は,これで終了です。
 これより,当方の興味からの実験です。

●ラボ協会プリントとお店プリントの比較
 目的から行くと比較する意味がないのですが。
 お店プリントは,マゼンダっぽい。これは,意図的に,このような調整をしているわけではないと思います。
 ただ,一ペラで見た場合は,マゼンダが,少し乗っているので,見た目の印象は,お店プリントの方がいいです。いつものことですが「正確な色≠綺麗な色」ということに。

●PX-5500での印刷
 リファレンス画像をPX-5500で印刷してみました。
 ここで,困ったのが,リファレンス画像にある「(c)Print-sRGB」プロファイルです。
 このPrint-sRGBのまま印刷した方がいいのか?それともsRGBへ変換して印刷した方がいいのか?AdobeRGBへの変換は,たぶん意味がないので検討対象外にしました。
 印刷は,次の設定で試みました。
・エプソン写真用紙 カスタムプロファイル(相対的) Print-sRGBのまま
・エプソン写真用紙 カスタムプロファイル(知覚的) Print-sRGBのまま
・エプソン写真用紙 カスタムプロファイル(知覚的) Print-sRGB→sRGB変換

・エプソン写真用紙 エプソンプロファイル(相対的) Print-sRGBのまま
・エプソン写真用紙 エプソンプロファイル(知覚的) Print-sRGBのまま

・エプソンクリスピア エプソンプロファイル(知覚的) Print-sRGBのまま
・エプソンクリスピア エプソンプロファイル(相対的) Print-sRGBのまま
・エプソンクリスピア エプソンプロファイル(相対的) Print-sRGB→sRGB変換

・エプソン写真用紙 ドライバ補正(設定は当方標準パターン) Print-sRGBのまま

 PX-5500で実寸で印刷すると,フチありとなるのでケラレが生じます。実用上は差し支えありません。たぶん,リファレンス画像は,フチによるケラレも,想定したレイアウトになっていると思われます。
 限りなくラボ協会プリントを模っするならば,PX-5500のフチなし機能をかみ合わせるしか手立てはないと思います。
・PX-5500印刷設定要領
 Photoshop側 実寸 拡大/縮小 95%
 ドライバ側 フチなし印刷(はみ出し量:標準)
 リファレンス画像の解像度は300DPI。ラボ協会プリントは,おそらく実寸(フチなし)でプリントしたのだと思います。

●(すべてのプリントの)全般的比較
DQリファレンスを入手しました_f0158244_23461212.jpg フロンティアペーパーの方が,ベースがやや暖色系です。エプソン写真用紙(光沢)は,ベースがやや寒色系なので,ハイライト側はベースの色で判断しがちになります。クリスピアはベースが暖色系なのでフロンティアに近い印象を受けます。
 これは,以前の実験で確認しており,今回も同じ傾向です。

 クリスピアのカラーグラデーションのつながりが,やや悪いです。これは,2880dpi印刷のせいだと思われます。プリンタドライバでクリスピアを選んでしまうと,1440dpiは選択できないのです。普段は,プロファイル印刷の場合,意図的に用紙を写真用紙にして1440dpiを選んでいますが,今回は,実験なので正規の使い方にしましたが,ここに影響してしまいました(笑
 たぶんPX-5500ユーザーの間では常識だと思われますが2880dpi印刷しないで,1440dpiの方がいいのです。

 今回の目的はプリントとモニターのマッチングですが,ICCプロファイルで合わせたものなら,カスタムプロファイルが一番近似しています。実機でキャリブしているのですから,これは当然ですね。
 i1でキャリブしたモニターとラボ協会プリント/お店プリントを比較すると,微妙です。要するに合っていない。
 これは当方がPX-5500用に使っている,i1の目標値がミニラボ機プリントと異なるためです。上述したように目標値を変えれば,そこそこ近似するようになります。
 それでも,PX-5500のカスタムプロファイル程は,近くないような感じです。これは,フロンティアの独自プロファイルがICC標準と異なるので,仕方ないと思います。

 あとPrint-sRGBの件ですが,sRGBとは色傾向が変わりました。ただ,一定方向の傾向を示している感触を今回は得ることが出来ませんでした。DQツールという,特別な画像ですので,これ以上追求するのは止めることにします。
 このPrint-sRGBの件は,リファレンス画像をお店プリントとモニターのマッチングに使う分に問題ないと思います。
 リファレンス画像を家庭用インクジェットプリンタとモニターのマッチングに使うのには,やや問題かもしれません。sRGBにすると,特定の色域で傾向が変わるためです(そこまで厳しく見なければ,問題になりませんけど)。
 インクジェットプリンタの場合は,sRGBプロファイルが埋め込まれている別のチャートにモニターを合わせる方が,いいと思います。リファレンス画像は,その際の参考確認程度に留めておいた方が,いいかもしれません。
 以前,DQツールでパソコンプリンタとモニターのマッチングをしてもよい。と書きましたが,上記のプロファイルの問題があるで,画像にリファレンス画像を使うのはよくないですね。手法はそのままに,画像に一般的なsRGBが使われているチャートを用いた方がいいということを感じました。この件は,近々改訂版を書きたいと思います。

 貼った写真は今回の見本(色味の厳密な比較をするための画像ではありません。状況イメージとしてご覧ください)。ラインティングの関係でPX-5500のが,見た目以上に明るくなってしまいました(笑

 以下の感想は,マッチングの話でなく,リファレンス画像でPX-5500の設定を変化させたことによる感想になります。
●エプソン写真用紙:カスタムプロファイル
 3種プリントしましたが,ほどんど同じ。
 この3種の比較なら,相対的(Print-sRGB)が,わずかにシアンっぽい。知覚的(Print-sRGB→sRGB変換)が,わずかにマゼンダ傾向なのか?

●エプソン写真用紙:エプソンプロファイル
 知覚的の風景画の空が,他と異なりシアンが強いです。
 どういうわけか?それ以外の色合いは,同じに見えます。単に全体にシアン被りになっているわけではありません。

●エプソンクリスピア:エプソンプロファイル
 これも,知覚的の風景画の空が,他と異なりシアンが強いです。さらに風車の背景のブルーも,より青っぽいです。

●エプソン写真用紙:ドライバ補正
 他との違いを一言で言うなら,派手傾向です。これも,いつものことです。
 グレー部は,青っぽくなる傾向にあります。
 風景画は,空が上記の知覚的同様にシアン傾向。お花畑は,黄色・緑共々明るめ。
 風車は,背景のブルーも,風車も,PX-5500にしてはハキハキしています。
 CMYRGB+グレーチャートの絵柄も,カラーのあるところは,ハキハキ調。
 そういう傾向にあるのですが,人物は,他の絵柄ほど,他のプリントとの差がハッキリしません。う~ん,これだから人物は,わからない。謎(笑

●ラボ協会プリントに近いPX-5500は?
 元々,発色傾向の異なる機械でプリントしていますので,合う筈もないのですが,強いて言うなら,エプソンクリスピア(エプソンプロファイル(相対的)Print-sRGBのまま) でしょうか。写真用紙は,ペーパーベースが青いので,このような比較をすると見える印象が違ってしまいます。
 カラーグラデーションを比較すると,ラボ協会プリントの方が,イエローがやや狭く,赤がやや広いです。この辺りが,機械の差?もしくは使っているプロファイルの差?なのでしょうか?

 最初,ラボ協会プリント見た時は,黄色い印象を持ったのですが,他のプリントを作ってみて,比較することにより,最初の印象は薄くなってしまいました。他のプリントの方が,さらに他の傾向を持っているためです。
 そのような経緯を持ってしまったので,ラボ協会プリントは,標準プリントになるのかなぁ,と思ったりもします。ラボ協会プリントの設定でも書いたとおり,このプリントは,富士イメージング調布工場で作ったのであれば,ラボ協会からの依頼で,用途・目的に配慮して,フロンティアの調整(プロファイルキャリブ,薬剤の管理等)も,十分に行った 上でのものなのでしょうかね。フロンティアって「誰がやっても無難なプリント」な機械ですから,そんなことはないか?

 結果は,予想通りでしたが,実際にやってみて検証できたのは,よかったです。
 あ~ぁ,スッキリした(笑
by rainbow-5 | 2008-04-06 23:47 | 撮影実験


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