今,主力で使っているRAW現像ソフトはAdobe Lightroomですが,どうにも困っている問題に色空間があります。
昨日,風戸えりちゃんの写真を貼りましたが,色空間の件が極端に出た例なので,忘れないうちに書いておくことにします。 現在,普及している色空間は,sRGBとAdobeRGBです。 Lightroomのファイル出力オプションには,ProPhoto RGBなるものがあります。ググってみると,どうやらAdobeRGBより,さらに広い色空間がProPhoto RGBのようです。 昨日の写真のようなWeb用の画像は,sRGBであれば十分で(というか,sRGBにしなければならない),ProPhoto RGBはおろか,AdobeRGBでさえ困りものです。 それは,それで,オペレーションで対処すればいいので,さしたる問題ではありません。 当方にとっての問題は,Lightroomのヒストグラムで確認して作った画像をPhotoshopへ転送するとヒストグラムが変わってしまうこと。 これには,条件があって,Lightroom→Photoshopへの転送をsRGBにした場合です。 ProPhoto RGBで転送すればヒストグラムの形は変わりません。Photoshop側でProPhoto RGBで受けた画像をPhotoshopでsRGBへ変換すれば,やはりヒストグラムの形は変わってしまい,LightroomからsRGBで転送した時と同じ形になってしまいます。要は,どちらでsRGBへの変換を行うかの違いだけで,結果的にsRGBになれば,ヒストグラムは変わってしまうということです。 昨日の風戸えりちゃんの写真の場合↓ Lightroomのヒストグラム Photoshop(ProPhoto RGB)のヒストグラム ほぼLightroomの形になっています。 Photoshop(AdobeRGB)のヒストグラム シャドー側が寄って,Rの山がハイライト側へ移動しています。Gの山も移動。 Photoshop(sRGB)のヒストグラム シャドー側B,ハイライト側でRが振り切れる。 ヒストグラムの形は変わりますが,モニター上で見ている画像に変化は,ほとんどありません。 当方が使っているモニターはsRGB機なので,sRGBより広い色空間を表示することは出来ません。変化を目視確認出来ないのは,機材構成上,当然です。sRGBで起きるこの現象は,AdobeRGBにしても,程度の差こそあれ,同様です。 AdobeRGB対応のモニターで見れば,画像の変化や違いを目視確認出来る筈ですが,単に状況を確認できるだけで,ヒストグラムが変わってしまうことの対処にはなりません。またAdobeRGB対応モニターでもProPhoto RGBで表示できるわけではありません。 このヒストグラムの変わり方が軽微なものなら,まだいいのですが,こんなにダイナミックに変わってしまうと,せっかくLightroomで,それらしいヒストグラムにしたことの意味がなくなってしまうような(笑 そして,これはたいがいの場合,シャドー側/ハイライト側で,ヒストグラムが振り切れるような変化となります。Lightroomで,せっかく256諧調に収めたつもりが,Photoshopへ転送するとハイライト側へ寄ってしまうという悲しいことに(笑 モニターによる目視確認だけでは不充分なので,ヒストグラムも使っているわけですが,画面では状況を確認できない,ヒストグラムも変わってしまっては,何を信じたら,いいのやら(苦笑 現状では,(Web用の場合)結局,sRGBでの見え具合がすべてである。と考え,モニターで見えている雰囲気に応じて,Photoshopで調整したり,そのままにしてしまったり。そんな感じになっています。このような進め方に納得しているわけではありません。 Lightroom自体には,作業用色空間をユーザーが設定する箇所がありません。作業用色空間自体がないというのは,あり得ないので,プログラム固定になっているのでしょう。 これまでの経験則からLightroomの作業用色空間はProPhoto RGBなんだと思います。 この手のソフトならば,広い色空間に合わせるのは,間違いではありません。 でも,Web用sRGB画像の作成が目的の場合は,ProPhoto RGBで内部処理されるのと,このように困ったことになる場合があります。しかも,LightroomにはWeb用の書出し機能まで内蔵しているわけですし。(もっとも,当方はLightroomのWeb機能は使っていませんけど) ProPhotoRGBという広い色空間を使っていること,ヒストグラムがあのような表示をしていることから,この画像は(sRGBでは)飽和しているということなのでしょう。 PhotoshopでRGB値を見た場合は... ・傘の右側辺り ProPhoto RGB R:178 G:73 B:19 AdobeRGB R:221 G:34 B:0 sRGB R:255 G:29 B:0 ・目の下の辺り ProPhoto RGB R:194 G:155 B:128 AdobeRGB R:220 G:164 B:144 sRGB R:241 G:174 B:158 まぁ,ヒストグラムの感じから,こういう風になるのは察しのつくところですけどね(苦笑 今回は,いい例でしたので,PX-5500でプリントもしてみました。(すべてPhotoshop側で印刷) モニターはsRGB機ですが,プリンタはAdobeRGBなので,もしかしたら違いが出るかもしれない。そう思ったからです。 ・sRGB エプソンプロファイルで印刷 ・AdobeRGB エプソンプロファイルで印刷 ・ProPhoto RGB エプソンプロファイルで印刷 この3件は,差が認められず(苦笑)。L判が,よくなかったのか? ・sRGB ドライバ補正で印刷 全体の感じは,今回のプリントで一番いい雰囲気。モニターとも,まぁまぁ近い感じ。 ・AdobeRGB ドライバ補正で印刷 赤の発色傾向が,他のプリントと全然違う。モニターとは,あわない。けど,赤に限れば当方が,こういう風にしたかった,という感じになっている。飽和の件も,赤の色味の傾向が変わったせいか?いくらかよくなっているような感触。 ・ProPhoto RGB ドライバ補正で印刷 →実行不可 エプソンのドライバの色補正方法にProPhoto RGBがないため(笑 ・sRGB カスタムプロファイルで印刷 傾向はエプソンプロファイルに同じ。但し,黄色被りが低減されている(当方のカスタムプロファイルは,そういうものなので,これは普段通りの動作となる)。 まぁ,やってみないとわからない。そういう気持ちでプリントしたわけですが,ProPhoto RGBの有効性を見つけることは出来ませんでした。あ~ぁ。 AdobeRGBも,プロファイル印刷で,差が認められなかったのは,どういうことなのでしょうか?これは,差が出ると思ったのだけどなぁ。データの方の色空間が変わっているのだから,プロファイル印刷でも差が生じる筈。プロファイルということはICC標準を使っているので,みんな同じになるの?ICC標準に,あの赤はないのか?当方の理解で間違っているところがあるのか?あ~ん,また,わかんなくなってきた。 今回の風戸えりちゃんの画像では,傘の赤のデティールが出ていなくても,実際問題,絵柄として,たいしたことではありません。また今回のでは,LightroomとPhotoshopでの色味の違いは,感じませんでしたが,場合によっては,微妙に変化したことを感じることもあります。この件は,Lightroomを使い始めて比較的早い時期に感じたものです。そのうちにヒストグラムに変化を生じる場合があることに気が付き,ProPhoto RGBに起因しているのではないかと推察するようになった次第です。 それにしても思うのは,どうして,こんな仕様になっているのでしょうか? ProPhoto RGBが表示できるモニターって,今,あるのでしょうか?プリンタも,あるのでしょうか? 現在,世の中にあるのはAdobeRGB対応製品までだと思います。AdobeRGBを作業用色空間に使うのでしたら,まだわかるのですが,機器がありもしないProPhoto RGBを使うとは?将来への先行投資なのでしょうか? Adobeは,より広い色空間であるProPhoto RGBの方が優れているので,採用しているのだと思われますが,それにしても,現実との差があり過ぎ。というか現実を考えていない。無害ならいいのですが,これじゃなぁ(苦笑 せめて,作業用色空間を ユーザーが切り替えられるようにして欲しいのですが,どんなものでしょうか? 困るんだよなぁ。こういうのって...
by rainbow-5
| 2008-04-08 21:34
| 撮影実験
|
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