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ピクチャースタイルの比較実験:その2
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_20281587.jpg 引き続き,キヤノンの新しいピクチャースタイルの実験です。

 興味としては,今回の画像をRAW Image TaskやLightroomで処理したら,どうなるのか?って,あったりしますけど,そういうのまでやり始めると際限がなくなってしまうので,今回は,DPPだけにしておきます(笑



●人物 スタジオ撮り1
・条件・目的等
 照明 撮影用蛍光灯(デフューザー有)
 1D MK3, EF24-105/4 IS
 WB:手動 3800K

・忠実設定
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_11374737.jpg ホワイトバランスがちょっと良くないです。
 DPPでホワイトバランスの微調整は,やる気になれないので,今回の実験では,微調整はしないで,頃合いの良さそうなところまで色温度だけで調整しています。
 忠実設定は5200K環境で撮影した場合に,測色的に合うように調整してあるそうです。3800Kですが,そんなにおかしくはないように感じます
・ニュートラル
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_11474765.jpg 忠実設定と比較すれば色が薄くなった。肌色が黄色くなった。ヘアーの感じはニュートラルの方が良い。
 これまで経験則の通りの結果。
・スタンダード
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_11564361.jpg 忠実設定と比較すればコントラストが少し強い。
 これでも,いいかな?と,思ってしまいますが,ハイライト側が明るくなっているので,お洋服が飛び気味になってきています。
・ポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1235450.jpg 出た。DPPのポートレート。全然ダメなピクチャースタイル(笑
 けど,この画像は,ポートレートにしては,随分いい方ですわ。
 こんなこともあるんだぁ。
・スタジオポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_12102158.jpg 忠実設定とニュートラルの中間?
 当方の好みでいうと,黄色味が少し強い。
 ヘアーも,お洋服も,良好という感じです。
・スナップショットポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_12161886.jpg 「スタジオポートレート」スタイルよりコントラストがある感触。
・感想
 当方が気に入ったのは,スタジオポートレート・スタイル。
 そりゃ,ここまでライティングしていれば,設計意図の通りになって当然か(笑
 全体で見れば,黄色味が強い。これって,蛍光灯だからなの?よくわからないわ。
 画像を比較した感じでは,スタジオポートレート・スタイルはニュートラルをベースにして人物用の調整をしているのでしょうか?このスタジオポートレートを使った状態で色合いなどのパラメータを調整すれば,それでいいように感じます。
 「スナップショットポートレート」スタイルは,スタンダードがベースになっているのでしょうか?はっきりとしたライティングでは,少しコントラストが強いですかね。

●人物 スタジオ撮り2
・条件・目的等
 照明 モノブロック ストロボ(デフューザー有)モデリングライトはハロゲン
 1D MK2, 24-105/4 IS
 WB:手動 4600K

・忠実設定
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_13373326.jpg 悪くないが,ちょっと肌色が強い?ちょうどいい?
・ニュートラル
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1341984.jpg 比較すると眠い感じ。色も薄い。
・スタジオポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1441442.jpg やっぱりニュートラルをベースにしているように見えるのだが。
・スタンダード
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_13513132.jpg コントラストが高いので,肌色が抜け気味。
・スナップショットポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1494066.jpg このカットの中では一番か?
・ポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1346381.jpg コントラストが高くて,妙なマゼンダというか,ピンクっぽ色合いが乗る。ヘアーは赤毛でしょうに。
 これは,ポートレート・スタイルの普段通りの動作なので,DPPでは,こういうもの(苦笑
・感想
 新しいスタジオポートレートも,スナップショットポートレートもヘアーが赤くならないのは良。
 DPPに最初からあるピクチャースタイルの場合,ヘアーがけっこう赤くなります。肌色を中心に(トーンカーブを含む)パラメータ調整を行うとヘアーが妙に赤くなってしまって,今度は,そっちの対処が必要になることもしばしば。

●人物 スタジオ撮り3
・条件・目的等
 照明 タングステンライト(≠ハロゲン)
 1D MK2, 24-105/4 IS
 WB:手動 3000K

・忠実設定
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15261030.jpg
・ニュートラル
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15294140.jpg
・スタジオポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15331271.jpg
・スタンダード
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15362677.jpg
・スナップショットポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1539396.jpg
・ポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15414868.jpg
・感想
 スタジオポートレートも,スナップショットポートレートもシャドー側をいくらか持ち上げているようです。特にスタジオポートレートの方は中間域に寄せようしている感触です。
 お帽子のピンクもみんな違っています。この画像サイズですと,お帽子のハイライト側は潰れていますが,元画像ではデティールはしっかり出ています(但しポートレートはギリギリ)。

●人物 スタジオ撮り4
・条件・目的等
 照明 タングステンライト(≠ハロゲン)
 1D MK2, 24-105/4 IS
 WB:手動 2900K

・忠実設定
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_15592229.jpg
・ニュートラル
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_1645718.jpg
・スタジオポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_169020.jpg
・スタンダード
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_16124447.jpg
・スナップショットポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_16151472.jpg
・ポートレート
ピクチャースタイルの比較実験:その2_f0158244_16173434.jpg
・感想
 忠実設定は説明書に,5200K環境で撮影したものに合わせている,とありますが,当方の用途ではタングステンでも実用の範囲内になるかと思います。
 上記同様に,スタジオポートレートも,スナップショットポートレートもシャドー側をいくらか持ち上げているようです。そのせいか,ニュートラル・スタイルっぽいスタジオポートレートはちょっと眠くなってしまいました。
 この絵柄とセッテングですと,メリハリ感のあるスタンダードが一番,二番は忠実設定と当方は思いました。



 繰り返しになりますが,これらの実験は,ピクチャースタイルだけを変化させて,他のパラメータは固定化しています。最初に忠実設定で,ホワイトバランス,明るさは調整していますが,ピクチャースタイルに応じてパラメータを変えた画像を載せていません。そのような調整をすればピクチャースタイル毎に好ましい画像になることもあるので,この実験の画像だけで結論というのは早合点だと思います。
 それでも作業性も大事です。ポートレート・スタイルと言う名前だけを活かそうとして,明るさ・ホワイトバランス・コントラスト・色合い・トーンカーブの間を行ったり来たりしてばかりじゃ,効率が悪くて仕方ありません。
 それにしても,あのポートレートって言う名前のピクチャースタイルは,なんなのか?

 ここで,毎度お世話になっているデジカメウォッチさんが飛び入り参戦↓

・長期リアルタイムレポート:キヤノン EOS 5D【第8回】DPPでの現像のコツ
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/longterm/2006/01/30/3107.html
> 具体的には赤から黄色にかけての色相で輝度の高い領域は輝度をやや持ち上げて色濃度を
> 控えめにしているという。

 良し悪しは別として,これ↑は,確かにそうなっておりますな。

> 露出が正確ではない写真に対してポートレイトスタイルを適用すると、
> キヤノン側が意図しない結果になる

 ここでいる適正露出とは,いわゆる出た目に近いもの。
 撮影技法として,明るめの露出にするというのは,ここでいう適正露出ではないのです。画像を明るくしてくれるのは,ポートレート・スタイルの役割という考え方なんですよね。
 よって,「ポートレート」スタイルを使いたい場合は,撮影時から「ポートレート」スタイルを意識しておく必要があります。

> DPPの「RAW画像調整」タブで指定する色あいは、色相全体を回すのではなく、
> 赤から黄色にかけての色相を中心にシフトさせる。

(途中略)
> 全体の色合いを回転させるパラメータは「RAW画像調整」タブではなく、
> 「RGB画像調整」タブの色あいスライダーでなければ変えることができない。

 これ↑も,設計上の意図は理解できるが,実際の振る舞いは,なんか違うんだよね。

 ライターは本田さん。まさか,記事の着眼点は,いいところにいってます。いつものことですが,結論がわかったような,わからないようなことが多いですな。ここが伊達さんとの違いか。

 アタシが,いくら「こうあって欲しい」と期待したところで,プログラムが,そのように作られていなければ,期待した動作はしてくれないわけで,プログラムの立ち振る舞いを理解するのは必要だと思います。されど,キヤノンの研究所や開発センターのヒトしか使いこなせないようなプログラムでもねぇ。アタシには,あのポートレートを使いこなすことは出来ません。
 この前の1D MK3のAFのように,ここは,別途案内をキヤノンに作ってもらいたいものです。操作説明書だけでは,全然足りませんよ。

 つづく...

■モデル
水原みう(S.P.C撮影会)・春名愛海(ZERO-POINT撮影会)・石原口綾(Studio Still One Day撮影会)

■参考リンク
・ピクチャースタイルの比較実験:その1(2008.11.16)
http://rainbow55.exblog.jp/9674836/
・ピクチャースタイルの比較実験:その2(2008.11.16)
http://rainbow55.exblog.jp/9676129/
・ピクチャースタイルの比較実験:番外編(2008.11.16)
http://rainbow55.exblog.jp/9677898/
・ピクチャースタイルの比較実験:その3(2008.11.21)
http://rainbow55.exblog.jp/9692440/
・ピクチャースタイルの比較実験:その4(2008.11.23)
http://rainbow55.exblog.jp/9709329/
・ピクチャースタイルの比較実験:今回の結論(2008.11.23)
http://rainbow55.exblog.jp/9711268/
by rainbow-5 | 2008-11-16 22:15 | 撮影実験


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