先にキヤノンDPPのピクチャースタイルの比較実験をしましたが,今度はRAW現像ソフトのCapture One 4.5.1 for Windowsで同じ画像を試してみました。ソフトを変えたら,青が赤になってしまうことはなく,どのソフトも同じようなものかもしれませんが,手間をかけずに,頃合いのいいソフトがあれば,それに越したことはありません。 Capture Oneの場合,機能無制限体験版(30日間限定)があり,印刷も,ファイル出力もみんな出来ますので,これを試しました。 PhaseOne自身(だったと思う)による説明では,Windows版は英語版で起動するのでEditメニューのPreferenceで「Japanese」を選択すれば日本語版になる,と書いてありましたが,Preferenceの中に言語選択はなかったです。試用につき英語版状態でも,だいたいのところはわかりそうなので,この件は,そのままに。 速度面は,やや重いです(当方のPCの場合)。 基本機能は,他のRAW現像ソフトと同等。調整パラメータの種類は,LightroomやSILKYPIXより少ないです。 調整パラメータのスライダー1目盛り当りの変化量は,Lightroomより大きい。DPPほどドカンとは変りません。個人的には,これぐらいの方がよろしいかと。 機能面では,バリアントが特長らしいですが,Lightroomも運用で似たようなことが出来るので,当方には大きなアドバンテージには感じられませんでした。 色調は,落ち着いた感じ。DPPの標準ピクチャースタイルで言うとニュートラルが近い方か。(ニュートラルを強くしたもの≒Capture Oneのスタンダード) 明るさは,DPPより,Capture Oneが少しだけ暗い。(0.1EV~0.2EV分) ハイダイナミックレンジと名乗る白トビ抑制,黒つぶれお越しは,ダイレクトな感触です。よって,そこそこ使うとコントラストが低下してきます。Lightroomの同等機能の場合は,なるべくコントラスト低下をまねかない様な処理をしているように感じますが,そのような感触はありませんでした。 よくわからなかったのが,プロファイルの取り扱いです。 出力設定プロファイルのsRGB,AdobeRGBを切り替えると画面表示が切り替えた時点で変化します。この変化は,小さなものではありません。 sRGBの方が色が薄いというか,さめているというか?う~ん,鮮やかさがない? ロケ撮りの画像で見ると,もしかしたら色温度が違っているのか?雰囲気としてはsRGBの方が,色温度が低い印象です。ホワイトバランスを上げ下げしてみしたが,それだけではないようです。さらに1D MK3とMK2では,この傾向が反対になる場合もあったり,なかったり(笑 設定値の誤り等の場合,一定の傾向を示す筈ですが,それがわかりません。以下,この件のサンプル画像。(画面での見え具合の違い) ■プロファイル比較1(EOS-1D MarkIII) ![]() ■プロファイル比較2(EOS-1D MarkIII) ![]() ■プロファイル比較3(EOS-1D MarkII) ![]() ■プロファイル比較4(EOS-1D MarkII) ![]() 画像をTIFFファイルに出力して,Photoshopで表示させてみるとCapture Oneの表示におおむね同じです。 プロファイルと画像ビューアー(画像表示のソフト)の取り違いをやってしまうとWindowsの場合,このような現象になります。それにしても,逆転したり,カメラによって変ってしまうのはあり得ないので,この手合いの話ではないでしょう。それにPhotoshopなどのカラーマネージメント対応ソフトならWindowsでも大丈夫。 当方のモニターはAdobeRGB対応機ではありません。これまでの経験では,プロファイルの違いで,ここまで色味が違ったことはありません。 第一,設定を変えているのは出力用プロファイルなのですから,それが表示されている画面に変化があるのはおかしいような。ただ,この件は,ソフト設計方針により,こうしている可能性はあります。 Capture Oneでは入力側のプロファイル,つまりデジカメならカメラの機種に応じてプロファイルが用意されています。 キヤノン自身が,カメラプロファイルを提供しているのは聞いたことがないので,これらは,PhaseOneが自力で作ったもの(or買ったもの)だと思われます。出力プロファイルで画像が変化してしまうのは,入力プロファイルとの関連が増幅されて起きるような気がしていますが,その根拠や明確な実験値はありません。当方の勝手な想像です。 プロファイルとの関連で良いのは,sRGBとAdobeRGBを切り替えるとヒストグラムの形も,それに応じて変化してくれるということ。 Lightroomは,これが出来ていない。画面表示はProPhotoRGBで,ヒストグラムもProPhotoRGBに応じたものになっています。このためsRGB出力した画像をPhotoshopで読むとヒストグラムの形が変ってしまいます。 この辺りは,DPPも色空間を切り替えればヒストグラムも変化します。Lightroomのやり方にメリットは感じられません。 Capture Oneの画面表示は,どの環境が念頭にあるのでしょうか? Lightroomの現像モジュールはProPhotoRGBなので5000K環境だと思っています。画面のプロファイルは,おそらくOS環境の設定値を使っていると思います。 DPPは,これらの値は「環境設定」ウィンドウで自分で設定する様になっています。 画面で見た感じ,Photoshopで表示される感じと大きな差がなければどちらでも,いいのですが,これほど違っていては気になってしまいます。 ところで,色あいは,DPPが苦手とする赤の頃合いがよかったです。こういうのを見てしまうと,どうみてもキヤノンの赤は,変だと思ってしまいます(苦笑 ■赤の比較1 現像パラメータは原則デフォルト(WBはカメラのAWB。Capture Oneでは4119K,色合い-4と表示された。主たる光源はダウンライトのハロゲン)。 DPPのピクチャースタイルはスタジオポートレート(先の実験で好結果だったもの)。 Capture Oneはハイダイナミックレンジのシャドー側を+15(スタジオポートレートに合わせるため)。 ![]() ピクチャースタイルを変えたときの画像↓ http://rainbow55.exblog.jp/9677898/ このページの一番下の画像。 ■赤の比較2 現像パラメータはデフォルト(WBはカメラのAWB。Capture Oneでは5386K,色合い-1と表示された。主たる光源はブース内のHMI)。 DPPのピクチャースタイルはスナップショットポートレート(先の実験で好結果だったもの)。 ![]() こうやって見比べると,DPPの赤がよろしくないのは,飽和気味なことが原因のようです。この処理↑はスナップショットポートレート・スタイルなので,まだいい方。スタンダードでも忠実設定でも何を試しても,おかしな赤にDPPだとなるものです。 この比較において,肌色は目的外ですが,見た印象では,変な脚色がない,自然な感じでしょうか。ただ,日本人の場合,これだと黄色味が強く感じてしまう欠点があるんですよね。 ピクチャースタイルを変えたときの画像↓ http://rainbow55.exblog.jp/9709329/ このページの一番下の画像。 ■人物1 現像パラメータはデフォルト(WBはカメラで色温度直接設定(4600Kで撮影時設定)。Capture Oneでは4744K,色合い-1と表示された。光源はストロボ)。 DPPのピクチャースタイルはスタジオポートレート(Capture Oneに雰囲気が近いため)。 ![]() 色温度が違ってしまっている? DPPの場合,ピクチャースタイル次第で,これぐらいの違いが出るのは当然ですから,こういうこともあるのか? ピクチャースタイルを変えたときの画像↓ http://rainbow55.exblog.jp/9676129// このページの人物スタジオ撮り2の画像。 ■人物2 現像パラメータはデフォルト(WBはカメラで色温度直接設定(3000Kで撮影時設定)。Capture Oneでは3131K,色合い-2と表示された。光源はタングステン)。 DPPのピクチャースタイルはスタジオポートレート(Capture Oneに雰囲気が近いため)。 Capture Oneは,明るさを+0.2EV,ハイダイナミックレンジのシャドー側を+7(見た目の明るさをDPPに近づけるため)。 ![]() 上に比べれば,差は少ないかも。 ただCapture Oneは少し明るく処理したので,同じようになっただけ。ちょっとだけ,黄色味が強いか。お帽子のピンクの出方はCapture Oneの好みですかね。 ピクチャースタイルを変えたときの画像↓ http://rainbow55.exblog.jp/9676129// このページの人物スタジオ撮り3の画像。 ■ヒコーキ1 現像パラメータはデフォルト(WBはカメラのAWB。Capture Oneでは5844K,色合い+1と表示された。)。 DPPのピクチャースタイルは風景。 Capture Oneは,明るさを+0.1EV(見た目の明るさをDPPに近づけるため)。 ![]() この例では,Capture Oneの基本特性のカーブをFilm Standard→Film High Contrastへ変更しています。 DPPの空は,マゼンダ被りが少しあります。DPPの空とは,そういうものなので普段通りの動作です。DPPのトーンカーブなどで調整をすると,今度は機体が黄色っぽくなってしまうのでNG(苦笑 結局,Photoshopで色の置き換えで空を修正することが多いです。 対するCapture Oneは,当方の好みです。 ■ヒコーキ2 現像パラメータは原則デフォルト(WBはRAW現像ソフトの太陽光。Capture Oneでは5367K,色合い-1と表示された。)。 DPPのピクチャースタイルは風景。 Capture Oneは,明るさを+0.15EV(見た目の明るさをDPPに近づけるため)。 ![]() これも,Capture OneはFilm High Contrastにしています。 Capture Oneの方が空がパッとしませんが,これは,当日の天気がこんなものだから(笑 どちらのソフトも,機体が,やや青かぶり。これは,AWBの色温度が少し低いからです。手動で5800Kぐらいにしてあげると,いいのですが,そうすると今度は青空がなくなってしまうのです(泣 DPPは,機体の塗装が塗り絵(苦笑)。たーだ高彩度にすればベルビア調かというと,さにあらず。風景スタイルは,ベルビアに似せようとして失敗している,出来損ないベルビアなんですよ,いっつも。Capture OneはFilm High Contrastですが,そんなに大袈裟になっていません。 これ↑に対して,Capture Oneで明るさ・コントラスト・彩度を調整したのは,こっち↓。 ![]() このテイストだと今風,ってところですかね。当方の好みでは,この辺りが限度です。これ以上デーハーにする気はありません。 あの天気で,ここまで行ければ,これで十分かな。 Capture Oneは,Phase One由来のRAW現像ソフトなので,しっかりしたセッテングで撮られているが前提でしょうか? 同じような憶測で,レタッチ前提なのかと。素材画像の生成に適しているような気がします。 それとフィルム時代の印象を残しているように感じました。ヨーロッパものなので,単に色調が落ち着いているだけかもしれませんけど。 LightroomやSILKYPIXに比べれば調整パラメータは少ないですけど,DPPよりは,全然素直な画像になります。 評論家的視点で言うと,ベルビア調の風景には不向きかもしれません。スナップは向いていると思います。 人物は撮影条件次第か?微妙な時もありますから,このソフトだけで最終形の手前まで持っていくのは,ちょっとつらいかも。Photoshopでのレタッチ前提で,その素材を作るにはいいように,今回は感じました。 そういう作業の流れになってしまうなら,多機能なLightroomは,単に世話ナシでよろしいです>安直なアタシ(苦笑 Lightroomの場合は,画像の粗セレクト~仕上げまでのすべてを一本で行う設計になっているので,Capture Oneとは方向感が異なります。よって,LightroomやSILKYPIXと同じような機能をCapture Oneに期待すると間違うことになると感じました。 ちなみにCapture Oneには,Lightroomのライブラリのような概念はありませんし,作業の流れを強制されることもありません。 DPPは,機能・使い勝手以前にピクチャースタイルという難問があります。キヤノンの場合,良くも悪くも,色作りはトータルシステムになっています。DPPは,単発のRAW現像ソフトでなくて,ピクチャースタイル・システムによる撮影~印刷までのトータルソリューションの一部です。そういう点でのメリットはあるのでしょうが,当方にはデメリットの方が目立ってしまいます。 あと,失敗救済や条件が厳しい場合は判断が出来ませんでした。 機能上は,不向きに感じます。明るさや色調をダイナミックに変えるのは苦手の印象ですし,ハイダイナミックレンジ機能もありますが,有用性という点では?マークに思えたからです。 しかし,実際にやってみると,そこそこ行けるかも? ●DPP ![]() 左:DPP スタジオポートレート→Photoshop レタッチ後 右:DPP ニュートラル→Photoshop レタッチ後 ●Capture One ![]() 左:Capture One→Photoshop レタッチ前 右:Capture One→Photoshop レタッチ後 このサイズになってしまうと粗が,よくわからなくなってしまいますが(笑 レタッチ後は,諧調飛びも起きていますし,オレンジの見え加減も大きなサイズだと印象が違います。対処案としては,16ビットを使う,マスクを使う。そんな感じで,何とか持って行けそうな気もしました。まぁ,作業手間がかかるのは救済なのであきらめ。 諧調性は,悪くありませんが,DPPの方が上の様に見えました。 以前も書きましたが,汎用ソフトと専用ソフトの一番の違いは,ここじゃないかと。 汎用RAW現像ソフトのプログラムやデータ構造そのものは不案内ですが,おそらく独自のデータ構造に合わせる形で,各社のRAWデータをコンバートするのだと思っています。そうでもしなければ,効率が悪くて仕方ない筈です。汎用ソフトでは,プログラム内部のデータの持ち方は,共用ですから,カメラメーカの個性は,どうしても薄くなってしまうと思っています。またコンバートの際には,数値的な切捨てや丸めは絶対にある筈で,それが積もりに積もって諧調の連続性に影響するものだと感じています。実際にそうなっているかは,わかりませんけど。 Capture Oneの場合は,まずはPhase Oneありき,だと思いますので,そういう見方だと,Phase One調ってことでしょうか? 印刷やWeb掲載を前提にした画像出力機能等は,ほとんど試していません。当方の作業の流れでは,RAW現像ソフトでは,行わないからです。 すごく単純化して言ってしまうと,DPPより優れたところはあるが,LightroomやSILKYPIXのような多機能さはない。落ち着いたフィルムテイストな色調だけど,ベルビア調は無理。そんなところでしょうか。 安いとは思いませんが,高くもないので,持っていてもいいような気になってきました。 以下,今回収集した記録。 ・Captureone4 (キャプチャーワン4日本語版) http://shop.vector.co.jp/service/servlet/Catalogue.Detail.Top?ITEM_NO=SR135604 ・今回のダウンロード元 http://www.phaseone.com/Content/Downloads/CO4.aspx 電子メールアドレス登録必須(の模様) ・今現在の最新版 http://www.phaseone-japan.co.jp/news_captureone45.shtml 4.5.2が最新?→Mac版のみらしい ・Phase One、RAW現像ソフト「Capture One 4」日本語版を正式リリース http://dc.watch.impress.co.jp/cda/accessories/2008/05/22/8527.html ・販社 http://www.nationalphoto.co.jp/software/009.htm パッケージは,Capture OneとCapture One PRO,Capture One DBの3種類がある。 Capture One 無印は,旧名称がCapture One LE。エントリー製品。 Capture One PROは,プロ機能が付いたもので,高価。 Capture One DBは,Phase Oneデジバック専用付属品で一般市販なし。機能はCapture One PROに同じ。 プログラムモジュールは3種類同一らしい。ライセンス・キーによって対応モジュールの内容が切り替わる模様。機能無制限体験版もモジュールそのものは同一の感触。ライセンス・キー登録により体験版が解除されると推定。 Capture One 無印にないが,Capture One PROにある機能で当方が気になったもの。 ・肌色指定でのホワイトバランス(スポイト) →SILKYPIXにあるやつ ・色域毎の色相・明度・彩度調整 →Lightroom,SILKYPIXにある ・スタイル設定によるテイストの適用 →Lightroom,SILKYPIXにある ・レンズの歪みとり →Lightroom,SILKYPIXにある ・パープルフリンジ低減 →Lightroom,SILKYPIXにある ・CLARITY(低コントラスト調整?効果はLightroomの明瞭度に類似) ・モアレの低減 ■補足 本記事にて,sRGBとAdobeRGBの表示上の違いを示した掲載画像は本来の画像ではありません。見た目の印象をblogに載せるために画面キャプチャーを経由しています。ですが,本来画像とキャプチャー経由画像でも大きな差はありませんので,見えている状況はお伝えできると思います。 さらに厳密に申しますとキャプチャー取得は,当方のモニタープロファイル(カスタムプロファイル,6500K)環境下で行われているので,規格上のsRGBではなく,当方のモニターにおけるsRGBとなります。掲載画像はsRGBプロファイルを埋め込んでいますが,これはキャプチャーのBMP画像にプロファイルを埋め込み後,JPEG化したものです。 以前,モニタープロファイルを再作成した時の記録↓ http://rainbow55.exblog.jp/8377178/ このページ↑の右上の画像をクリックするとキャリブ時のモニターの状態を確認できます。だいたい,いつもこんな感じです。 ■モデル 水原みう(S.P.C撮影会)・高坂千賀(ミッテル撮影会)・白石玲衣(E.V.E撮影会)・青山恵子(ミッテル撮影会)・加納のりこ(第40回 東京モーターショー2007)・瀬長奈津実(TOKYO AUTO SALON 2008 with NAPAC)・春名愛海(ZERO-POINT撮影会)・石原口綾(Studio Still One Day撮影会)・初音みう(スーパー耐久シリーズ2006 第4戦 富士) 関連記事 ▼続・RAW現像ソフト比較 http://rainbow55.exblog.jp/9813106/ Capture One,Adobe Lightroomなどサンプル画像 ▼続々・RAW現像ソフト比較 http://rainbow55.exblog.jp/9814105/ Capture One,Adobe Lightroomなどサンプル画像(2回目) ▼Capture One PRO 6.2.2 for Windows(2011.8.12) http://rainbow55.exblog.jp/16409276/ CaptureOneのディスプレイ・プロファイルですが、Windowsなら、画面のプロパティ-設定-詳細設定-色の管理のところで、モニタに関連づけるカラープロファイルを選択しておけば、それに従って表示してくれます。ちなみに、うちでは出力プロファイルを変えてもディスプレイの色は変わりません。WinXPです。 ぽるこんさん。コメントありがとうございます。
> モニタに関連づけるカラープロファイルを選択 それは,やっているんですけどね。 > うちでは出力プロファイルを変えてもディスプレイの色は変わりません だと思います。 どうみても,あの動作が仕様だとは考えられず,カラマネからいっても,あんなに変化するのはおかしいです。 当方のシステム構成等に何かの間違いや誤りがあるのだと思うのですが,一定の傾向を示すわけでもなく,なんとも不思議な事象でした。 近々リリースされる日本語版4.7に期待でしょうか。
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