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Photoshopのロジック
 以前書いた(想像した。笑)sRGB v1.31(Canon)の記事に載せたPhotoshopにおけるプロファイル名の表示ロジックのフォローアップです。

 前回,書いた際には,優先するCMM(Preferred CMM Type)の役割がよくわかっていなかったのですが,再考してみました。



 まず,優先するCMMですが,これは,sRGBやAdobeRGBを判断しているフラグの類じゃないと思うようになりました。
 OSが持っているCMMは,MacはColorSync,WindowsならICMですが,どちらも開発元は独・ライノタイプですから,内部呼称は「Lino」になっている可能性もあると思います。優先するCMM=Linoということは,ColorSyncもしくはICMが優先するCMMということと推察できます。
 Photoshopの場合は,優先するCMMは全然優先しないで,AdobeだからACEを使う。
 ただ,それだけのような気がします。

 それでは,ICCプロファイルが埋め込んである画像の場合,sRGBやAdobeRGBは,どこで判断しているのか?
 おそらく,そんな判断していません。たぶん。
 CMMは,L*a*b*で処理をするのですから,この色は,いわば絶対値だと思っています。
 sRGBやAdobeRGBを(RGB系はみんな),相対値と考えれば,CMMは,相対値で処理はしないでしょう。常に絶対値なのだと思います。
 埋め込みプロファイルからCMMが作業用色空間に変換するということは,相対値であるsRGBやAdobeRGBで出来ませんから,すべて絶対値で処理していると考えます。
 ということは,sRGBやAdobeRGBという名前は,運用の便宜を図るためのものであり,そんな名前や区分コードがなくても,CMMは作業用色空間への変換処理は出来るはずです。
 ただ,CMMの変換処理だけでは,オペレーションしている人間は,どの色空間が適用されているのか,わからないので,Photoshopの左下にプロファイルに埋め込まれているプロファイル表示名(Profile Description,descタグ)を表示する。そういうことじゃないのかと?

 それらを踏まえて,前回の流れ図を見直したのが,これ↓
Photoshopのロジック_f0158244_29376.jpg
(図のレイアウトが変になる場合は,クリックすると別ウィンドウで,ちゃんと表示されます)
 別件でハードディスクで探し物をしていたら,偶然「EPSON RGB 2001」が付いた画像を発見したのです。
 このプロファイルは,AdobeRGBに似ている色空間らしいのですが,データはカメラ生成JPEGからsYCC成分を取り出したものなので,厳密にはsRGBでもないし,AdobeRGBでもありません。
 ちなみに,付いていたICCプロファイルの主な値↓
・色空間           rgb_(_は20h)
・優先するCMM         appl
・メーカー          EPSO
・モデル           TEST
・プロファイル表示名(desc) EPSON RGB 2001
・製作者           (16進で)000000...
・著作権表示         Copyright(C) SEIKO EPSON CORP. 2001
 こんなプロファイルでもPhotoshopは,怒ることもなく,なりなりに表示してくれます。

 プロファイルが埋め込まれているということは,いわば色に関する補正係数が貼り付けてある様なものです。その補正係数は,ICCの規格に準じたもので,画像が生成される時に(パソコンなら保存コマンド),付けられるわけですから,その補正係数さえあれば,読むときには,sRGBもAdobeRGBも関係ないのでしょう。
 普段,画像処理をする際には,sRGB/AdobeRGBをオペレータ(=自分)は意識しているので,何事もsRGB/AdobeRGBで考えてしまいますが,プロファイルが選択した(判断された)時点で,そういう区分けは,機械処理上は不要になるのだと思います。
 カメラ生成JPEGの場合は,画像を生成する際に補正係数の付けようがない。まさか,カメラ液晶のモニタープロファイルで埋め込むわけにもいかないし(笑)。だから,画像を見たパソコンモニターのプロファイルに応じて,表示・埋め込む様になっているのだと思います。

 文献等による裏付けはありませんが,状況証拠からいくと,この見方で説明は出来ると思います。
by rainbow-5 | 2008-12-29 16:16 | 写真関連メモ


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